先生。
土手につながる坂道が見える。
毎日通ったこの通学路。
足元には控えめに散った桜の花びら。
ふと顔を上げれば満開の桜が青い空に映えて、暗すぎた世界に少しだけ色が付いた気がした。
ここから見える学校からは、微かに校歌が聞こえる。
あの中に入ってしまったら、なんだか本当に全て終わってしまう気がして。
ここにいるのが精一杯だった。
制服を着た、たくさんの生徒が涙を流しながら抱き合ったりして、校門をくぐるのが見える。
みんなが手に持つ筒が全て終わりの証だ。
それだけで泣きそうになっていると、ブレザーのポケットに入れていた携帯が鳴った。
『お前さあ、卒業式来ないとかマジ?』