先生。


真剣な司の声が遠くなったのがわかって、耳が解放されるような感覚を覚えた。


それと同時に、土手に吹き抜ける春のなんとも言えない心地いい風が髪をくすぐる。



その時にほんの一瞬だけ、心を奪われるような匂いが鼻をとおって。



涙が一粒…頬を伝った。





「立花、お前との約束、守ったからな」





私の携帯は奪われていて、大好きな…大好きな……ずっと待っていた先生の声が耳に響いてる。


それは嘘みたいで、もしかして、また夢を見ているのかもしれないって。





「先生…?」





夢じゃないってことを確かめる為に、目の前にいる先生に声をかけた。


電話を切った先生と目が合って、色が、音が…全てが戻ってくる気がした。

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