先生。


‘‘ママ!’’





私が小さかった時、手を繋いでスーパーに行ったのを思い出した。


公園や遊園地なんて行ったことなかったけど、まだ小さかった私の手を握って笑ってくれたのを思い出す。



その言葉に過敏に反応して歩みを止めたその人が、ゆっくりとこちらを振り返った。


その目にはこの距離でもわかるくらい、涙が溜まっていて今にもこぼれ落ちそう。





「私のママはっ…あんただけなんだからっ!」





泣くつもりなんてなかった。


こんなやつのために涙なんて流すもんじゃない。



なのに、私は心の底からやっぱりこの人が大好きみたいだ。





「潤…」





私の名前を呼んだその声は、酷く懐かしくて。



なんでかな…最低なことばっかりされてきたのに、小さな頃の楽しい記憶しか蘇ってこないや。

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