先生。
どうやら悲しみのせいで、私の感覚は麻痺しているらしい。
結局最後に1人になるなら、余計な優しさとか思わせぶりな態度とか…全部いらなかったのに。
次の日の朝の出発前には、バスの前にもう先生がいて、目が合うと近付いてきた。
「昨日、何か言おうとしてたろ?」
「もう大丈夫です」
その無駄な優しさも、もう大丈夫。
「今さらなに遠慮してんの」
「本当に大丈夫なんで」
ニコっと笑ってその場をしのぐけど、家に帰ってからもかなりしつこく聞いてくる。
「もしかして怒ってる?俺が昨日聞かなかったから?」
「怒ってないですよ。怒る理由とかないし」
そう言ってまた笑う。
今ならまだ抜け出せるよね。
…無かった事にできるよね。
「怒ってんじゃん」