【短】好きすぎてむかつく (男目線)
「泣くか怒るか、どっちかにすれば?」
泣くか…って。
うわ、俺、また、泣いてた。
「わたしの制服汚さないでよ」
ミーがそう言ったから、俺はミーから離れて涙をぬぐった。
泣いてるところ見られるとか、終わった。
どれだけ自分がガキなのか思い知らされる。
音大に通ってるあんな大人っぽいやつに、俺がかなうわけ──
「いいよ」
ミーはピアノに向けている体を俺に向けた。
「…え?」
「アンタと付き合ってもいいよ」
ミーが……とてつもなく信じられないことを言っている気がする。
そして、とてつもなく俺が喜ぶことを。
「正直、アンタのこと好きじゃない。でも、そーゆー感情豊かなところ、嫌いじゃないよ。だから、アンタと付き合えば、わたしも感情豊かになれるかも」
「ま…じで言ってんの?」
俺のこと好きじゃないっていうのは…一瞬、グサッてなったけど。
「み、ミツキってやつのことが、好きなんじゃねえの?」
そうだ、そういえばそうだった。
「ミツキさん?そりゃ、好きだけど…恋愛としてじゃないよ、ピアノの先輩として、憧れてるだけ」
「…」
もしかしてあのポーッとしてたのは…演奏に、惹かれてた、だけ?
うわ…まじかよ。
俺、早とちりだわ。
ばかかよ。