先生はめんどくさがり。
「ごめん、江夏。マナミと少し話してもいいかな?」
「あ、私は全然…」
そしたら、私の肩に誰かの腕が回った。
もう、この感覚だけで誰かわかる私は、重症なのかもしれない。
「じゃあ、この子は俺が連れてきますね」
「先生…」
マナミさんはジン先生に、私はグク先生に腕を引かれてそれぞれの車に乗った。
「先生…なんで?」
「これから親父のとこ行く」
「え?!いつも急すぎますよ先生!」
「だって前から言っておくと、ずっとソワソワしてんじゃん」
「そ、それは…まあ…」
「大丈夫。俺も死ぬほど緊張してるから」
先生の家は、豪邸という言葉では収まりきらないほど大きくて。
敷地に足を踏み入れただけで、緊張が体中に走り回る。
「父さん、俺です」