先生はめんどくさがり。


だけど、扉はガッと掴まれる。





「…なに?」


「か、彼女…さんですか…?」


「そうだけど…」





妹にでも、見られてるのかな。


たしかに私ってガキだもんね。





「お、お綺麗ですね…っ!失礼します!」





女の人は、そう言うとさっさと帰っていった。



…絶対、あの人先生のこと好きじゃん。


わざわざ、送ってきて。



それに、あの子にも下の名前で呼ばせてるんだ?


ああ、モヤモヤする。




扉を閉めて、鍵も閉めて、私はリビングに向かう。


さっきまで私が横になってたソファで寝ている先生。



先生の近くに行くと、さっきの人の香水の匂いがしたスーツを脱がせた。





「バカ…先生の大バカ…」





寝ている先生に、私はそう言った。



聞こえないし、届かない。


私の思いはいつもそうだ。
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