次期社長と訳あり偽装恋愛

朝礼が終わり、十時から始まる会議の資料のコピーを頼まれていた。
原稿をセットし、スタートボタンを押した。
トレイに排出された用紙を取り、席に戻る。
会議資料をまとめ、高柳課長の元へ向かい声をかけた。

「課長、資料出来ました。会議室の準備をしましょうか?」

「いや、大丈夫。ありがとう」

「分かりました。失礼します」

軽く頭を下げ、自分の席に戻ると今朝買ったジュースが半分以上残っていたことに気づく。
氷も解けてぬるくなったジュースを全部飲み干しつつパソコンを起動した。
届いたメールを確認していたら友田さんが私をじっと見つめていた。

「何?また困ったことがあった?」

「いえ」

「じゃあどうしたの?私の顔になにかついてる?」

「ついているというか、綺麗になったなと思って」

「へ?」

友田さん何を言ってるんだろう。
今のは聞き間違いだろうか?

「最近、梨音先輩が綺麗になったなと思っていたんです。前も綺麗だったけど、何だろう。色気が出てるような気がして」

友田さんの言葉に絶句した。
い、色気?

「分かる!私も梨音ちゃんの雰囲気が変わったなと思っていたの」

「恵美さんもそう思ってたんですね!」

会話に加わってきた桐野さんと友田さんは興奮気味に話す。
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