次期社長と訳あり偽装恋愛

「梨音ちゃん、何か私生活で変化あった?」

「え、特に何も……」

「ホントですか?彼氏とか出来たんじゃないですか?」

「で、出来てないから」

友田さんの鋭い追求に吃りながらも否定した。

ここで肯定することは出来ない。
でも、友田さんや桐野さんの目から見ても私に変化があるというのを見抜かれるなんて思わなかった。
多少、浮かれていたかもしれないけど外見は以前と同じだ。
ましてや、綺麗になったとか色気とか雰囲気は変わってないと思う。

「えー、怪しいんですけど」

それでも友田さんはジと目を向けてくる。
その目は止めて欲しい。

「じゃあ、何かいいことでもあった?」

「えっと、まぁ……」

桐野さんに聞かれ、そこは否定しないでおいた。
浮かれている自覚があるので、全部否定したら余計に怪しまれると思ったからだ。

「そうか、梨音先輩は恋をしているんですね。だから綺麗になったんだ!」

友田さんはキラキラと目を輝かせながら言う。
若干ずれてるけど、当たらずも遠からず。
そんなことを大声で言われるのは恥ずかしすぎる。
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