次期社長と訳あり偽装恋愛
タクシーから降りると、私はその足で立花さんの部屋に向かった。
お互いに離れがたいという気持ちがあったんだと思う。
リビングのローテーブルの前にあるソファに座る。
もちろん隣には立花さんが座っている。
他愛もない話をしていて、ふと会話が止まった。
何となく見つめ合っていたら、立花さんの手が私の頬に触れた。
立花さんの真っ直ぐな瞳にとらえられ、目が離せない。
熱を孕んだ視線を向けられ、鼓動が加速していく。
ゆっくりと立花さんの顔が近づき、静かに目を閉じると唇が重なった。
愛おしむような優しいキスから深いものに変わっていき、口内に差し込まれた舌が歯列をなぞる。
お互いを求め合うようなキスに息が乱れる。
「んっ、はぁ……」
ようやく唇が離れて息が上がっている私を満足そうに立花さんは見つめている。
「次の段階に進んでもいい?」
「次って……」
「梨音ちゃんを抱きたいってこと」
抱っ……ストレートな言葉に顔が羞恥に染まる。
付き合っているんだから、いずれはと思っていた。
今日だってそんな予感がし、さっきのキスで身体が熱を帯びている。
もう私の脳内は立花さんで埋め尽くされていた。