次期社長と訳あり偽装恋愛

「じいちゃん、そんな話までしていたのか?」

「まあな。梨音ちゃんとは入社した頃から仲良しだからね。翔真よりわしの方が付き合いが長いだろ」

そう言ってしげさんは私に向かってお茶目にウインクしてくる。

「なんだよ、それ」

「おや、わしに嫉妬するのか?」

思わず眉間にしわを寄せた立花さんを見てしげさんは愉快だと笑う。

「うるさいな、じいちゃんは」

私は二人のやり取りをじっと見ていたら、秘書の亀井さんが私のそばに来た。

「先日は大変失礼しました。無礼をお許しください」

「いえ、そんな……気にしないでください」

亀井さんに深々と頭を下げられて困惑する。

「おい、無礼ってどういうことなんだ。亀井まで梨音ちゃんに何かしたのか」

立花さんは怒りの矛先を亀井さんに向けると、社長が口を開く。

「亀井は悪くない。全部、私が命令して亀井は従っただけなんだ。全て私のせいだ」

「あぁ、そうだよ。親父がすべて悪いんだ。この落とし前はきっちりつけてもらう。母さんが旅行から帰ってきたら報告するから」

「翔真、それはちょっと……」

社長の顔色が悪くなる。
< 201 / 212 >

この作品をシェア

pagetop