次期社長と訳あり偽装恋愛
「でも、梨音ちゃんに酷いことを言ったのはしっかり反省してもらうけど。とにかく今回はじいちゃんに助けられたって訳か。また、じいちゃんにお礼を言わないとな」
そう言って嬉しそうに口元を綻ばせていた。
「それにしても、梨音ちゃんとじいちゃんが知り合いだとは思わなかった」
「私も、しげさんが立花さんのおじいさんで会長だとは思わなかったです」
たくさんの驚きがあったので、頭が追い付かない。
「じいちゃん、普段会社では作業服でうろついているからな。これは幹部社員だけが知っているトップシークレットだから、若い社員は会長がそんな格好でいるなんて思いもしないだろう」
「私も普通に清掃員のおじいさんだと思ってました。花壇とかいつも綺麗に手入れしていて、私はその花を見て癒されていたんです。それでお礼が言いたくて話しかけたのがきっかけなんです」
「そうだったんだね。じいちゃんは人を見る目は確かだから、好き嫌いがハッキリしているんだ。前にじいちゃんが素直で可愛くて優しい子がいるんだって話をしていたんだ。それがまさか、梨音ちゃんだったなんて驚いたよ」
しげさん、そんなことを話してたの?
あまりのべた褒めで恥ずかしい。
「思いがけず、じいちゃんにも親父にも認めてもらえた」
さっきまでとはうって変わって真剣な表情で私を見つめる。