次期社長と訳あり偽装恋愛
「梨音ちゃんはどうして俺との付き合いを終わりにしようと言ったんだ?」
「それは……」
「親父が俺の縁談があるという話を聞かされて言ったんじゃないの?」
図星を突かれ視線をさ迷わせる。
その通りだ。
会社の今後の話も聞かされ、その上、立花さんに縁談話があるなんて言われたら、私は付き合いを終わらせるしかなかった。
「やっぱりね。口には出せなくても目は雄弁に語ってくれてるよ」
あー、もう嫌だ。
手で目を覆いたくなる。
「じゃあ縁談の話は解決したよね?」
確認するように聞かれ「はい」と返事をした。
「だったら、俺たちが別れる必要なんてないと思うんだけど。違う?」
「ち、違いません。でも……」
言い淀む。
素直に立花さんの言葉に向き合えない私がいた。
「でも、何?梨音ちゃんが思っていることを教えて」
「立花さんを何度も私は傷つけてしまいました。それなのに、問題が解決したらすぐに元の鞘にとか都合がよすぎる感じがして……」
「馬鹿だな。どうしてそんな風に考えるの?それに、俺は別れたつもりはないし、君に傷つけられたなんて思ったことは一度もない。むしろ、俺の方が梨音ちゃんを傷つけた」
「そんなことはないです!」
立花さんに傷つけられたことなんて一度もない。
いつも私を大切に想ってくれていた。