次期社長と訳あり偽装恋愛
「だったらお互い様で、梨音ちゃんが引け目を感じることはないよね?」
有無を言わせない笑顔を向けられ、私は頷くしかなかった。
「今後は些細なことでもいいから、何かあったら一人で考えずに俺に伝えて欲しい。お互いに納得するまで話し合おう」
きっと立花さんは、私がわだかまりを抱えていたことに気づいていたのかもしれない。
だから、順序立てて絡まった糸をほどく様に話してくれたのかな。
「あと、俺は初めから言っているけど梨音ちゃんと別れたつもりはないから。と言うか、俺の中では別れるという選択肢はない」
力強く言われ、胸の奥がキュンと疼いた。
私だって本音は別れたくなかった。
立花さんのことが好きだから別れなきゃいけないと思ったんだ。
「親父にも俺のことをよろしくお願いされただろ?梨音ちゃんはそれを受け入れてくれたんだから責任持ってくれないと困るよ」
いたずらっ子のように笑う。
「責任?」
確かに社長からそう言われて、こちらこそお願いしますと言ったけど……。
「そう。俺と結婚してくれるよね」
「……えっ?」
今のは空耳?
サラリとすごいことを言われた気がするんだけど。
「何、キョトンとしてるの?今、プロポーズしたんだけど」
突然のことに、目の前の立花さんをマジマジと見つめる。
「えっと、それは本気ですか?」
躊躇いがちに口を開いた。