御曹司様の求愛から逃れられません!
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翌日の仕事では、午前中いっぱいを使い、溜まっていた書類の整理をすることにした。過去の報告物と添付資料をスキャンし、日付別、テーマ別にデータ化し、ファイリングしていく。
暇なときにしかできない業務だが、今後を考えれば必要なことだ。

私は無心で書庫の資料を漁り、作業を進めた。

「あ、園川さん、いたいた」

「……部長。何か?」

書庫へやって来たのはおじ様部長だった。私は手を止めて、彼を振り返る。

「樫木さんに頼まれてね、志岐本部長が目を通したいらしいから、資料をいくつか本部長室に持って行ってほしいんだ」

“本部長室”
ゴクリ、と息を飲んだ。
樫木さんに頼まれた、って……。実際頼んだのは、樫木さんと絢人さん、どちらなんだろう。

「あ、あの……私が、ですか?」

「そうだね、ここの整理をしてくれてるのは園川さんだろう?君が選んで持って行った方が分かりやすいから。ほら、本部長とも知り合いなんだし。ちょうどいいじゃない」

う……。そう言われれば、断れない……。

「あ、今ちょうど婚約してるご令嬢が本部長に会いに来てるらしいから、失礼のないようにね。業務の見学をされているんだって。まだ正式には婚約発表してないから、あまり他言しないで。ま、園川さんなら大丈夫だろうけど」

「……そうですか。分かりました」

そっか……玲奈さんが来てるんだ。
……それなのに、私をそこへ呼ぶの?どうして?
なんのつもりなの、絢人さん……!
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