俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
イワンも入って行き、俺も入ろうとしたその時、「あなた、リーバス・ヴィンヘルム?」と後ろから声をかけられた。

振り向くと、数人の色とりどりのドレスを着た婦人がまるで汚物でも見るような目で俺を見ていた。一瞬で嫌悪感が走る。

「そうですが、何か用ですか?」

平静を装ってそう言うと、婦人たちは馬鹿にしたように笑い出した。

「新聞に載っていましてよ!『大切な資料を盗まれたマヌケな議長』って」

「警官なのに泥棒に資料を盗まれるなんて、世界平和対策本部は面白いですわね!!」

婦人の言葉が俺の胸に突き刺さる。

資料が盗まれてしまったことは、ドリス国を始め多くの国々に伝わった。しかし、国内では何も騒がれず対策本部のメンバーも気にする様子を見せなかったので、ただの自己嫌悪で済んでいた。

あいつのーーーリリーの出身国でこんなことを言われるなんて、想像もしていなかった。

「……資料を盗まれたことは、心から反省しています。では」

そう言い店に入ろうとする俺の背中に、次々と罵声が浴びせられる。しかも共通語ではなく、タンバリー語。何を言っているのかわからない。
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