俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
「あのね、今はパーティーじゃないし、どんな形でもいいんだよ。明日の練習と思って踊ってよ!……というか、ダンスの申し込みってリーバスの方からすると思うんだけど……」

言葉の最後の方では、リリーは苦笑していた。たしかにこういうのは男からか、と俺も恥ずかしくなる。

「わ、わかった…。それでは……ええと……」

俺は自分の胸に手を当て、一礼する。リリーもお辞儀をし、ダンスの申し出を受けた。

俺はリリーの背中に手を回し、俺よりも小さな手を取った。リリーの細い腰回りは、どのくらいの力で腕を回せばいいのかわからない。下手に力を加えれば、リリーが壊れてしまうような気がした。まるでガラス細工のようだ。

学んだことを必死に思い出しながら、俺とリリーはワルツを踊る。音楽はないが、リリーが上手くリードしてくれている。こういう面を見ると、リリーが貴族なのだと嫌でも実感してしまう。

庶民には馴染みのない三拍子のステップ。明日はきっと貴族の宝石で着飾った女性と踊るのだろう。

知らない貴族と踊ると思うと、また心が沈む。失敗をすれば陰で話題になるのは目に見えている。
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