優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「そうだな。俺たちは子どもに戻れない。だから、お前が近づいてこい。大人になれ」
優大くんのお父さんが、立ち上がって先生たちに頭を下げる。
先生たちはお互いにペコペコ、お辞儀してお互いにお時間を割いていただきーっと社交辞令で言葉を濁す。
大人たちは切り替えて、自分の場所に戻っていく。
動けない優大くんに、大人になれと現実だけを置いて行って。
「やっぱどうしようもねえよな。でもどうにかなるかなって。超だせえの」
「私も優大くんなら大丈夫だって思ってたの。でも、誰一人、優大くんを苦しめたくて、傷つけてるわけじゃ、なかったね」
優大くんが、空に押し潰されてしまいそうな、心がバラバラになってしまう様な空の下、苦しくて辛かったのだとしても。
自分を分かってくれようとしている人を遠ざけて逃げるだけなんて――そんなの、気持ちが見えない相手に対して、酷い対応だと思う。
行かないで。負けないで。傍に居て。いっぱい好きって言いたいから、いっぱい好きって言って欲しい。
なのに、大切なものを遠ざけないといけない。遠くから、これは大切なんだって叫ばないといけない。楽しかった思い出が煙になってくすんで、空が目撒くしされてるからなんだ。
「蕾、ごめんな。今日の俺見て、幻滅しただろ」
突然、優大くんがこの世の終わりのような低い声で呟いたのですぐさま顔を見上げた。
「どこが幻滅するの?」