優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「青春切符? 学生割引?」
初耳だった。けど、離れても恋人であるためにもっと勉強しておかないといけないことが沢山あるんだ。
受験勉強の次に、だけど。
「まずは携帯よね。今回、テストの結果良かったしペンタブ貰ったんだから、携帯かパソコン強請ろうよ。パソコンならログアウトしちゃえばメールの内容見られないよ」
「ログアウト……」
メールのログアウトってなんだろう。本当に私は知らない言葉だらけで恥ずかしい。
「紗矢―。蕾―。そろそろもやしも入れたいんだけど」
どこから持ってきたのか、1メートルはありそうなコック帽をかぶった優大くんが、私たちのもやしをさらっていく。
「さっきから、あいつ、七変化しすぎ」
「皆が100円のプレゼントって言うからだよ。パーティーグッズ選ぶ人が多かったんだおうね」
「私はクッキーだけどね。速攻で食べ終わったから形に残るものにすればよかったわ」
悔しそうに言いつつも、家庭科室に焼きそばのソースの匂いがふわりと立ち込めてくるといそいそと紙皿を並べだした。
優大くんのお別れ会は、悲しいムードは一切なくて、終始笑い声が絶えずお別れ会って言うよりテストの打ち上げの延長線上みたいな形に収まった。
「お、やべ。そろそろ駅に行かねえと、ひまわり展の時間た」
「うん、そうだけど……」
まるでまた明日、と言わんばかりに優大くんは食べたお皿をゴミ袋に捨てて、コック坊を脱いだ。