優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「さよならなんて言いたくねえから、また明日な、で終わるわ」
「なんだよ、優大、そこは泣けよ」
「なんか一言言えよ」
「優大―、行かないでー」
クラスの皆に茶化されながらも、優大くんはカバンを肩にかけて笑って去ろうとする。
それが、彼の精一杯だと気づいたのは、カバンを持つ手が震えていたからだ。
「優大くん」
「おう」
「本当に二学期から、このクラスじゃなくなるんだよ。だから、ちゃんと後悔しないように言おう」
私の言葉に、固まった優大くんは肩にかけたカバンを床に落とす。
軽いので、筆箱しかはいってなさそうだった。
「……ああ。そうだった。俺は大人になるんだった」
マシュマロみたいに。
ふわふわ軽い言動。
必死で傷を隠していたんだ。
彼はわざわざ椅子を2個並べると、その上に立った。
織田先生が焼きそばを食べながら睨みつけるけど、注意はしない。
目を真っ赤にした優大くんは、皆の顔を見渡した後、笑顔で言う。
「ありがとうな。本当に俺、このクラスで良かった。織田だってむかつく筋肉野郎だって思ってたのに、いいやつでさ。ほんと、お前たちと一緒に居られて、俺、すげえ、すげえ幸せだった」