【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
真澄さんのことが好きってバレた──だろうか。
もう一度、真澄さんをちらっと見上げてみる。こっちを見ていた真澄さんと目が合うと、彼がニヤッと笑う。その目に妖しさを感じたわたしは、さっと目を逸らした。
真澄さんの目は危険だ。
あの目に見つめられると、自分が自分でなくなってしまう。マンションならまだしも、ここはモール内のお洒落なカフェ。自分をなくしてしまうのはマズい。
そんなわたしに構うことなく、真澄さんがぽんと頭に手を乗せる。いつもの仕草にため息をつき、ゆっくり目線を戻した。
「なんですか?」
視線がぶつかり、ふて腐れ気味に問いかける。
「いや。今晩が楽しみだと思って」
「今晩?」
今晩、何かあっただろうか。今朝は寝ていて、何も話していない。わたしがいない間に、急な予定でも入ったとか?
首をかしげるが、真澄さんは微笑するだけで何も答えてくれない。
しばらくそのまま見つめ合っていると、目の前に座っている乙葉さんがコホンとわざとらしい咳をした。
「ふたりの世界に浸っているところ悪いんですけど、愛川先生にひとつ質問」
乙葉さんは腕を組み、鋭い目で真澄さんを見据える。
「ああ、なんでもどうぞ」
真澄さんも真澄さんで座っている姿勢を少し崩し、同じく腕を組み臨戦態勢だ。