【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
わたしひとりが蚊帳の外で、このあと何が起こるのか小さくなって息を飲む。
「いつもの愛川先生と随分感じが違いますが、病院での愛想のいい愛川先生には何か理由が?」
乙葉さんの言葉に、真澄さんの顔色が曇る。そう感じたのは乙葉さんも同じだったらしく、ふんと澄ましてみせると真澄さんをじっと見つめた。
あ、それ! 私も聞きたかった! 前に同じ質問をした時はなんとなく流されてしまって聞かずじまい、ずっと気になったままだったから。
わたしも乙葉さんと同じように、横に座っている真澄さんを見上げた。
「感じが違うか。今の俺を見れば、そう感じるのは当たり前だな。理由は……まあ、あると言えばある。でも悪いが今は言えない」
そう淡々と話す真澄さんを見て、乙葉さんは片方の眉をぴくっと上げた。
「そうですか。まあわたしには関係のないことなので、これ以上は聞きません。ですが、蘭子を泣かすようなことがあったら容赦しませんのであしからず」
乙葉さんの挑むような態度に、今度は真澄さんが眉根を寄せた。
「真木野さんは、蘭子のなに?」
「そうですね。蘭子はわたしにとって、大事な妹ってところでしょうか」
「なるほど。よくわかった」
真澄さんは頷き、笑顔を見せる。もう眉間にシワはない。
なんなんだ、このふたりのやり取りは……。