【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

「やっと……じゃないです。もうかなり前から……えっと、その……落ちてます」

“好き“という気持ちを誰かに告白するのは初めてで、真澄さんの顔をまっすぐ見ていられない。伏し目がちに言葉を紡ぐと、それを理解した彼が顎を捉え、わたしの顔をクイッと上げた。目線が自然と交わる。

「言っただろ、蘭子は俺のことを好きになるって。でもまさか、このタイミングで告白されるとは思ってなかったけどな」
「このタイミング……」

ん? それって、なんのこと? どんなタイミングだと言いたいの?

あ! もうすぐクリスマスだからとか、そういうこと? だとしたら真澄さんって、意外とロマンティストなのかもしれない。

見つめ合う瞳に笑みを見せると真澄さんが顔をぐっと寄せ、その距離が数ミリと近づいた。

「今晩は長い夜になりそうだ。夕飯は簡単に済ませるとして、大きなケーキを買って帰ろう」

早口だが嬉しそうに言うと、真澄さんは最後に軽く唇を重ねる。一連の流れが把握できていないわたしは、呆然とするばかりだ。

そんなわたしをよそに真澄さんは体を離すとハンドルを握り、すばやく車を発進させた。

長い夜って今は十二月末の冬で、夏に比べれば当然夜は長い。今更口に出して言うことでもないと思うんだけど。しかも大きなケーキを買って帰るなんて、クリスマスイブは二日後で、今日は何を祝うと言うのだろうか。



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