【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「前夜祭的なやつ?」
小さくぼそっと呟いた声は、カーステレオから流れる音楽にかき消された。
真澄さんは軽快に、車を走らせている。
まあ、いっか。
真澄さんが嬉しそうなら、わたしも嬉しい。今は余計なことは考えず、真澄さんに任せておこう。
シートベルトを締め直しまっすぐ前を向くと、カーシートに身を深く沈めた。
隣町で人気の洋菓子工房でフルーツがいっぱい乗った小ぶりのタルトと、隣接されているベーカリーでいくつかパンを買うと、家路についた。
「先に体を温めたほうがいいだろう」と真澄さんがお風呂の準備をしてくれている間に、わたしは野菜とベーコンのコンソメスープを作る。
帰り道に真澄さんと話し合って、ベーカリーで買ったパンとコンソメスープで夕食を済ますことにした。真澄さんと暮らすようになって、夕飯をパンで済ますことは初めてだ。
なにか考えがあってのことだろうが、どうしてそうするのか……。もうあえて追求はしない。
どうしてと聞いたところで、真澄さんに軽くあしらわれるのは目に見えている。それに今晩は、食後にフルーツタルトが待っている。
色とりどりのフルーツがキラキラと輝くタルトのほうが、実は楽しみだったりするのは秘密。甘いものは別腹というくらい、女子はフルーツがたくさん散りばめられたケーキに目がない。