【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「立ってられなくなったか?」
ああ、そういうことか。真澄さんはわたしより、わたしのことをよくわかっているのね。
そうだと言わんばかりに二度三度頭を縦に振ると、真澄さんはコンロの火を消し、わたしの体をクルッと回す。そのまま左腕で肩を支えると、右腕をわたしの膝裏へと回し入れた。
途端ふわっと体が宙に浮き、視界が揺らぐ。
「キャッ!」
すぐに抱きかかえられたことに気づき、不安定な体勢に慌てふためくと、真澄さんの首にがっちりしがみついた。
「おろして……」
どうして抱きあげられたかわからないが、この体勢はよくない。このままどこに連れられてしまうのかと思うと、かなり不安だ。
「同じことを言うんだな」
でも真澄さんは「ふっ」と笑いながらもいつでも余裕綽々で、ひとりこの状態を楽しんでいるように見えた。
『同じことを言うんだな』というのはアパートが家事になった日、旧病棟でばったり会ってしまった時のことだろう。あの日も、驚いて尻もちをついたわたしを、今と同じように抱きかかえて運んでくれた。
まだあの日から一週間ちょっとしか経っていないけれど、なんか懐かしい。
今の危機的状況のことも忘れて懐かしさにふけっていると、真澄さんは私の体を抱え直してからその場にゆっくりと下ろした。