【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
好きな人にそんなふうに見つめられたら、頭がクラッとして返事につまってしまう。恋に慣れてないのを知っていてやっているのだとすれば、意地悪がすぎるというものだ。
あと一歩で真澄さんの目の前──というところで、足が止まってしまった。
「蘭子……」
わたしのそんな態度に呆れているのか、名前を呼ぶ声にため息のような吐息が混じる。
真澄さんは一歩足を踏み出すと、動けないでいるわたしの体をふわっと包み込んだ。
「真澄さんは意地悪ですね」
「意地悪?」
不思議そうな声を出す、真澄さんを見上げた。
「そうです。真澄さんも知っての通り、わたしには恋愛経験がありません。それなのに真澄さんは……」
「俺は、何?」
「……甘すぎます」
何を言うかと思ったら、甘すぎるとか。わたしの中のどこに、そんなセリフが隠されていたのか。
自分の口から出た恥ずかしい言葉に、うつむくと顔を真澄さんの胸に埋めた。
顔が熱い。
きっとわたしの顔は、真っ赤なんじゃないだろうか。そのくらい熱くて仕方ない。深く息を吸い込むと、熱を冷ますようにその息をゆっくり吐き出す。
すると真澄さんの手が、わたしの背中をゆるりと撫でた。
「甘すぎるは良かったな。でも今晩は、こんなもんじゃ済まない」