【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
また今晩──。
「真澄さん。帰り道からずっと気になってたんですけど、今晩今晩って、何があるんですか?」
顔は上げないまま、真澄さんの鼓動に耳を澄ます。
今日の真澄さんは、事あるごとに“今晩“強調する。きっとそのためのケーキなんだろうけれど、何も話してくれないからどうも引っかかる。
「そうか、ずっと気になってたのか。でもまだ、教える訳にはいかない」
真澄さんがそう言うと、頬が当たっている彼の胸が小刻みに震えだす。何?と顔を上げれば、彼は愉快だと言わんばかりに笑っていた。
「真澄……さん?」
一体、何なの?
嫌な感じの笑いではないが、わけのわからない私は面白くない。
「そんな怒った顔するな。でも蘭子は、どんな顔も可愛いからなあ、いろんな表情を見たくなる」
そう言いながら、真澄さんはわたしの頬をツンとつついた。どうやら知らぬ間に、頬を膨らませていたらしい。
それにしても今日の真澄さんは、甘さに拍車がかかっている。
真澄さんの口から出たやっぱり甘い言葉と指先の感覚に、頭の中はショートして、今晩のことなどどうでもよくなってしまった。
「ま、真澄さん! もう離してください! お、お、お風呂、お先に失礼しますっ!」
体を大きく動かし真澄さんの腕を払うと、彼の体を軽く押し退ける。大きな体がふらっとよろけた隙きにバスルームへと駆け込み、後ろ手でドアを閉め鍵をかける。