【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

途中まではわたしが作ったけれど、そのあと真澄さんが何か手を加えたのか、どこか違って見える。グイッと近くまで顔を寄せて違いを探していると、コツンッと頭を小突かれた。

「行儀が悪いな。犬食いでも、するつもりか?」
「ち、違いますよ! これ、何か入れましたか?」

コンソメスープを指差してみせたが、真澄さんは首を捻る。

「いや、何も。蘭子が作ってくれたから旨そうだ」

ポンッとわたしの頭を撫でてから、自分の席に座る真澄さんは、笑みを浮かべている。嘘ではない言葉に、心がじんわり温まる。

「誰が作ったって同じ。ただのコンソメスープですよ」

真澄さんの真っ直ぐな言葉は、嬉しいけれど照れくさい。つい自虐的なことを口走ってしまう。でも真澄さんは、わたしを喜ばす術を緩めない。

「蘭子の愛情が詰まったコンソメスープだ。それだけで価値がある」
「そんなに褒めたって、何も出ませんよ? さ、食べましょう」
ふたり同時に手を合わせ、コンソメスープに手を伸ばす。
「美味しい……」

野菜から出た甘みだろうか、素朴な味わいに、お腹も気持ちも満たされていく。真澄さんに『美味しいね』と目で伝えれば、真澄さんも同じように返してくれた。

誰かと一緒に食事をするのが、こんなにも楽しいなんて。いや、誰かじゃない。真澄さんとだから、きっとこんな簡単な食事でも楽しくて幸せなんだろう。



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