【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
母が死んでひとり暮らしをするようになって、こんな気持ちも忘れてしまっていた。
「手が止まってる。どうした?」
真澄さんを見つめたままスプーンを持つ手が止まっていたわたしを見て、真澄さんが心配そうな顔をする。
わたしのこととなると、ほんの些細なことでも見逃さない真澄さんは、かなりの“過保護”じゃないだろうか。
「なんでもありません。真澄さんとこんな時間が過ごせるなんて、幸せだなぁと思って」
わたしが幼いときに両親は離婚。一緒に暮らしていた母も四年前に亡くなったが、不幸せだと思ったことは一度もない。母との生活は苦しい時もあったけれど、ふたりで乗り越えた生活は幸せな思い出ばかりだ。
それでも真澄さんとこんな時間を過ごすと、幸せを噛みしめる自分がいることに驚く。
「そうだな。俺も幸せだ」
そう言って微笑む、真澄さんの屈託のない笑顔に心を奪われる。
マンションでの真澄さんは、病院にいるときとは別人。口数も少ないし口調も無愛想、到底明るいとはいい難い。それでも真澄さんに心惹かれるのは、たぶん時々見せてくれるこの笑顔なんだろう。
病院にいる時に見せるチャラ男の笑顔とは全く違う、相手を想っての笑顔だ。
それを向けられているわたしは、真澄さんに愛されている──。