【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「ところで蘭子。先週に比べると綺麗になったというか、肌ツヤが良くなったような気がするんだけど。愛川先生と“何か”あった?」
食堂の今日のおすすめA定食を食べ終わった乙葉さんが、片肘付いてニヤニヤしながらわたしの顔を見ている。
「もう乙葉さん! そんな顔して見ないでくださいよ」
「そんな顔って、どんな顔っていいたいのよ?」
「イ、イヤらしいです。それに、田所先生と同じこと言わないでください」
乙葉さんの言いたいことはわかっている。わたしと真澄さんが一緒のベッドで寝ているのを知っているのは乙葉さんだけ。
だから彼女の言う“何か”というのは……。
「ご想像にお任せしますけど、乙葉さんが考えてることで間違ってないと思います。たぶん」
……って何言ってんだ、わたし。
言ってから恥ずかしくなって、慌てて顔を両手で隠した。
「そう、よかったじゃない。蘭子もやっと大人の女になったわけだ」
乙葉さんの柔らかい声に、閉じていた指を少し開け隙間から彼女を窺う。紙カップに注がれたコーヒーを飲んでニッコリ微笑んでいる、乙葉さんと目が合った。
「恥ずかしがることないのに。蘭子、“あの人”に抱かれて幸せじゃなかった?」
上目遣いに見る乙葉さんの目が、やけに優しく感じる。