【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
『そんな寂しそうな顔をした蘭子を、ひとりで帰せない』
という乙葉さんと一緒に夕飯を食べて、彼女の車で送ってもらいマンションへと帰ってきた。
気を使わせてしまったのは申し訳ないと思うけれど、乙葉さんのおかげで気持ちはずいぶんと落ち着いている。
荷物を片付けると、簡単に部屋の掃除をして風呂に入った。真澄さんがいないことをいいことに、お気に入りのナイトウェアを着ながらキッチンに行き、電子レンジでミルクを温める。そこにハチミツを落とすとアカシアの優しい香りが鼻をかすめ、ホッと心が温かくなった。
リビングのソファーの上で膝を抱え、ホットミルクを一口飲む。『ハチミツの女王』と言われるアカシア蜂蜜の上品で癖のないあっさりとした味が、ホットミルクにはよく合い、ひとりで寂しい気分のわたしを少し笑顔にしてくれた。
時計は二十三時を回っている。
真澄さんからは昼にメールをもらって以降、何の連絡もない。遅くなるから先に寝てていいとメールには綴られていたが、どうしたものか。
「まだ眠くないし、待っててもいいよね」
テレビの電源を入れると、膝を抱えたままソファーに体を倒す。と──。
ホットミルクで体が温まったのが良くなかったのか、それとも横になったのがいけなかったのか、数分で睡魔に襲われてしまった。
「ふわあぁぁ~」と大きなあくびをすると、テレビを見ていたはずのとろんとした目は、ゆっくり閉じてしまった。