【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
『──蘭子。おい、蘭子、起きろ』
夢の中だというのに、耳元で真澄さんの声がハッキリと聞こえる。会いたいと思う気持ちが強すぎるのかな?と、可笑しくなってフフッと笑ってしまった。
『おい蘭子、笑ってる場合か。こんなところで寝てたら風邪引くだろう』
体がふわっと抱き寄せられ、夢の中にしてはやけにリアルだなと薄っすら目を開けた。
「……真澄、さん?」
夢の中でもスーツ姿が決まっていてカッコいい。今なら少しぐらい大胆になってもいいよね。
「大好き……」
そう言ってスッと腕を伸ばすと、真澄さんの体にギュッと抱きついた。
ん? あれ? 夢にしては抱き心地がいいというか、真澄さんの筋肉質の体がしっかりと伝わってくる?
これは何かがおかしい──。
ショボショボする目を頑張って開くと、目の前にドンと眉目秀麗な顔があって。一瞬で現実に引き戻されたわたしは、慌てて体を離そうとしてあえなく失敗。
いや、失敗というのは違うか。
体を離したくても、そうさせてもらえなかったと言うのが正解。
真澄さんに強く抱きしめられている体は、うんともすんとも動かない。
「先に寝てろと言ったはずだ。どうしてベッドで寝ない?」
「そ、それは……」
真澄さんを待ってた──そう言いたいのに、なんだか彼が怒っているように見えて、素直にそう言えない。急に悲しくなってきて、涙が出そうになってしまう。