【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「偉そうなことを言ってると、今晩抱き潰す」
「だだだだ、抱き潰すっ!?」
それどころか、恐ろしい言葉をのうのうと吐くから驚くしかない。大きな声を上げてしまい慌てて口を押さえた。
「愛川先生、どうかしましたか?」
私の叫び声を聞きつけて、歯科助手の女性がカーテンを開け顔を覗かせる。
「いや、大丈夫。佐野さん、そろそろ始めてもいいですか?」
「はい、オッケーです」
そう言って真澄さんに“佐野さん”と呼ばれた女性が私に近づく。「これ、こちらに預かりますね」と、わたしがまだ手に持っていたバッグをカゴに入れてくれた。
「すみません」
「いえ」
ニッコリ微笑む彼女を見て、少し落ち込む。
こんな可愛らしい女性が一緒にいるというのに、真澄さんはどうしてわたしなんかを好きになったのか。仕事とはいえ気遣いのできる素敵な人なのに……。
もしかしてクリスマスイブに真澄さんが一緒にいたのは、この人じゃないだろうか。──って。何トンチンカンなことを考えているんだろう、わたし。
思い出したくないことを思い出し、落ち込みは一層深さを増し、自分のバカさ加減にため息が漏れる。
「高梨さん、どこか気分でも悪いですか?」