【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

「優秀な口腔外科医、なんですよね?」

右側が麻酔のせいで麻痺していて話しにくい口で、淡々と答える。でも真澄さんは、その上をきた。

「残念。僕は天才的な口腔外科医だ。だから何の心配もない、俺に任せろ」

突然のプリンスの登場に佐野さんは何も気づかず、「先生、カッコいい~」と声を震わせているが、私は最後の“俺にまかせろ”という言葉を聞き逃さなかった。

あれは愛川先生じゃない、真澄さんの時の一人称で話し方。わたしにだけわかる話し方で、わたしを安心させてくれているのだと思うと頬が緩む。タオルが掛けられていて真澄さんがどんな顔をしているのかはわからないけれど、きっと自信ありげに笑っているんだろう。

真澄さんらしい──。

彼の笑顔が脳裏に浮かぶと、ふっと体の力が抜けていく。

「よろしくお願いします」

すべて真澄さんに任せておけばうまくいく。

小さく深呼吸すると、お腹の上で両手を組み合わせた。



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