【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「真澄さんの嘘つき!!」
真澄さんが運転する車の助手席で、彼に文句を浴びせながら右頬を押さえる。
「嘘つきとは聞き捨てならない言葉だな。俺がいつどこで嘘をついた」
聞き捨てならない? いつどこで? 冗談も大概にしてもらいたい。
まっすぐ前を向いたまま悪びれる様子もなく言葉を放つ真澄さんに、鋭い視線を向けた。
「だって真澄さん、『何の心配もない、俺に任せろ』って言ったじゃないですか!」
「ああ、たしかにそう言ったが、それが何か?」
「何か?じゃありません! ここ、麻酔切れたからか、すっごく痛いんですけど!!」
頬をパンパン叩き、ここが痛いとアピールしてみせる。
「深い位置に横向きに埋もれていたからな。痛みと腫れは一週間ぐらい続くかもしれない」
「い、一週間!?」
「歯茎を切開して、骨にはまってる歯を取り除いたあと縫ったんだ、仕方ないだろう」
「うぅ……」
それはそうだけど。
心臓の鼓動に合わせてズキンズキンと痛む右側の口内は、まだ少し血の味がして気持ち悪い。ずっと口を開けっ放しだったからか顎も痛いし、どこもかしこも痛―いっ!!
「薬局で薬はもらってきたか?」
ぶすっと膨れっ面で、コクリと頷く。