【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

「夜になると痛みが激しくなるかもしれない。その時は我慢せず、すぐ俺に言うように」
「……はい」

何よ、先生みたいに……。って正真正銘、口腔外科医だけど。いや、天才口腔外科医様か。

風邪や腹痛なら自分でもなんとかできるけれど、こればかりはどうしようもない。専門医がそばに居てくれる──それだけでもありがたいと思わないと。

はあ~とため息にも似た息を漏らすと、同時に腹の虫が鳴る。

お腹減ったなぁ……。

でも口の中がこの状態じゃ、きっと食べられないよね? 抜歯のことが不安で、朝はあまり食欲が湧かなかった。こんなことになるなら、もっと朝食をたくさん食べておくんだったと今さらながら後悔中。

「夕飯はどうする?」

真澄さんにそう聞かれても、腹ペコなのを隠して首を横に振った。

「でもさっきから、腹鳴ってるよな?」
「うっ……き、聞こえてたんですね。お腹は空いてるんですけど、この調子じゃ食べれそうもなくて」
「ヨーグルトやゼリーなら食べれるんじゃないのか?」

確かに! その類のものなら噛む必要はないし何より好物だ。少し物足りない感はあるが、今はそんなこと言ってられない。何も食べないよりはマシだろう。


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