【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
その日の夜は風呂には入るなと真澄さんにキツく止められ、まだ二十二時を回ったばかりだが、早々にベッドに潜り込む。薬は飲んだが、切った歯茎の痛みはまだひどい。この時間になって頬も腫れてきた。
「うぅ……」
ひとり、その痛みに耐えていると、真澄さんが寝室に入って来るのが見えて体を起こした。
「起きなくていい、そのまま寝てろ」
「すみません。こんな年末に迷惑かけて……」
そう言いながらベッドに横になると、頭の下に何かを入れられた。
「冷たい」
「氷枕。冷たいかもしれないが、冷やすと少しは楽になる」
言われたとおりに腫れた頬をピタッと当てる。と、その冷たさに少し麻痺したのか、痛みが和らいだ。
ベッドの縁に腰を下ろした真澄さんが、わたしの髪を撫でる。
「真澄……さん」
「無理してしゃべるな。俺がそばにいるんだ、安心して早く寝ろ」
「うん」
いつもなら『はい』と返事するところだが、真澄さんはいつもより優しくて。いや、いつも優しいけれど、今日は普段の二倍増しで優しくて。なんだか甘えたくなってしまった。