【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「やっぱり」
メールの相手は思ったとおり真澄さんで、その内容に苦笑した。
【蘭子。薬、飲み忘れていないだろうな】
どこかで見ていたようなメールの内容に、部屋の中をキョロキョロ確認する。隠しカメラなんてあるわけないのに……と、プッと吹き出してしまう。
さすがは真澄さんだ。わたしのことを、わたし以上にわかっている。
「はいはい。さっさと飲みますよ」
袋から薬を出していると、またスマホが音を鳴らす。
「今度はなんですか?」
スマホのディスプレイを見ると、その内容に勝手に頬が緩んだ。
【今から帰る。早く蘭子を抱きたい】
「だ、抱きたいって……」
これだから、真澄さんには困ってしまう。
ねえ知ってる? まだ外、明るいよ?
彼のストレート過ぎる愛情表現にはほとほと呆れてしまうけれど、それが愛川真澄という人間で。一緒に暮らすことになってから少しもブレないから、嬉しいような恥ずかしいような。
時刻は十六時を少し回ったところ。
真澄さんの『早く蘭子を抱きたい』というのは冗談だと思う、いや冗談であってほしい。ワタシ的願望を胸に寝室へと向かう。
「まさかね」
すぐに使うことはないだろうと思いながらも、ベッドメイキングをささっと済ませる。最後にぽふっと枕を膨らませると、「これでよし」と満足してキッチンへと向かった。