【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
なんなのよ、これ!
眼の前で繰り広げられている愛川先生の噂話に、頭の中はパニック寸前。立っているのもつらい。呼吸も乱れ始めてきて、心臓を締め付けられるような苦しさに顔をしかめる。
誰か助けて──。
何かを掴むようにゆっくりと右腕を上げた、その時。
「蘭子っ!!」
この声は……乙葉さん。目線の先に彼女の姿を見つけて、はぁと息を吐く。慌てて駆け寄ってきた乙葉さんに体を支えられると、引きずられるようにスタッフルームをあとにした。
「蘭子あんた、ひどい顔してるよ」
「そ、そうなんだ。ひどい顔か、あはは……」
面白くないのに、笑ってみる。
「もしかして愛川先生の話、聞いた?」
乙葉さんも知っていることに落胆し、力なく頷いた。
そっか。情報ツウの彼女も知っているということは、さっきの噂話は本当なんだ。嘘だったらよかったのに……。
ギュッと下唇を噛んで、涙をこらえる。
「まだ休憩時間残ってるし、少し話せる?」
乙葉さんはそう言って、わたしの顔を見た。いつも元気な乙葉さんの顔が悲しげで、更に落ち込む。