【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
まだ目線は、田所先生と合ったまま。その意図を確かめるように、彼の目を見続けた。
と、彼のほうが根負けしたかのように苦笑をもらし、その顔を和らげる。
「その強気、どうして真澄に見せないの?」
田所先生の柔らかい物言いに、少し強張っていた緊張が解かれる。
「どうしてって言われても……」
「あいつは頭もいいし仕事に関してはなんでもそつなくこなすけど、高梨さんのこととなると途端に及び腰になる。だからふたりがうまくいったことを知ったとき、嬉しかったことより驚きのほうが大きかった」
「真澄さんが及び腰……」
そんなこと、全然知らなかった。
旧病棟に忍び込んだところを見つかったときから上から目線で、わたしの前ではいつも堂々としていた真澄さんが……。
初めて聞く話に、心が揺れ動く。そんな真澄さんの素顔を聞かされたら、彼のことを諦めきれなくなってしまう。
でもだったらどうして、こんなことになってしまったんだろうと。彼が結婚すると、院長の息子だと、知ることになったその日の朝まで、何ら変わりなく過ごしていたというのに。
どれだけ考えても出てこない答えに、諦念のため息を漏らす。