【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「相変わらず、そそっかしいな。だから……蘭子から目が離せないんだ」
すっと伸びてきた手が、わたしの頬に触れ優しく包み込む。その温かい手のひらに身を預けてしまいそうになる自分の心を、下唇を噛んでグッと抑えた。
真澄さんの手を拒否することも、この場から逃げることもできない。黙って俯いていると、田所先生が笑った声に少しだけ顔を上げた。
「おい真澄、高梨さんが困ってるぞ。その手をどうにかして、まずは座れ」
田所先生がそう軽く促すと、真澄さんはすぐに頬から手を離し、わたしの隣へと腰を下ろした。張り詰めていた緊張感から解き放されたわたしは、大きく息を吐いた。
こんなの、いくつ心臓があっても足りないじゃない!
心の中で気持ちを吐き出し、睨むつけるように真澄さんを見上げた。でも真澄さんはわたしには見向きもせず、水を持ってきた店員にコーヒーを頼むと田所先生と向かい合う。
「せっかく高梨さんの居場所を教えてやったのに、来るのが遅いんじゃないのか?」
片肘ついた田所先生が、真澄さんの目をじっと覗き込む。わたしにはその目が少し挑戦的に見えて、なんだか落ち着かない。