【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「何が言いたい? 俺にも都合があるんだ。プライベートなことで、仕事をほっぽりだすわけにはいかないだろう」
「まあ、そうだろうけどな。でももう少し来るのが遅かったら、俺が高梨さんをかっさらってたよ」
「何っ!! 真司、お前……」
体を浮かせ今にも田所先生に掴みかかりそうな真澄さんに、慌てて手を伸ばし彼の腕を掴んだ。
「真澄さん、落ち着いて。田所先生もそんな気もないのに、挑発的なこと言わないでください」
わたしのことで、ふたりが争う姿を見たくない。なんでこんな事になっているのか、わけがわからなくて涙が出そうだ。
「高梨さん、ごめん。ちょっと調子に乗りすぎた。さ~てと、俺の出番はここまでかな。ふたりでよく話し合って、いい結果を持って戻ってきてほしい。真澄、あとは任せたぞ」
そう言って立ち上がった田所先生は、拳を握るとそれを真澄さんの前へと突き出す。
「ああ、わかった」
田所先生に応えるように真澄さんも腕を上げる。拳と拳がゴツンと合わさり、ふたりの目線が重なった。それだけのことでお互いのきもちが通じ合ったのか、なんとも爽やかな笑顔を見せるふたりに、わたしは首を傾げた。
さっきの険悪な雰囲気はなんだったの?
男同士の友情はよくわからない。けれど、そんなふたりの姿を見てか、目に溜まり始めていた涙は跡形もなく消えていた。