【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

腕時計を見ると、午後の一時を回っている。

安堵の表情を見せた田所先生を見送り、真澄さんの車に乗り込んだ。

「どこかでゆっくり話をしたい」
「はい、わたしも。ちょうど実家の空気の入れ替えをしようと思っていたので、そこでもいいですか?」
「ああ、もちろんだ」

道案内をすると、あっという間に実家に到着してしまう。

こんなとき、時間が経つのは早い。

諦めのため息をつき車から降りると、バッグの中から久しぶりに使う鍵を取り出した。

子供の頃は当たり前のように使っていた家の鍵も、時間が経つとまるで他人の家にでも入るかのように緊張してしまう。

ガチャリと音がし鍵が開く。扉を開けると、懐かしい匂いに母との思い出が蘇り、顔はゆるりとほころんだ。

今日は天気もよく風もほとんどない。真澄さんを居間に通すと、カーテンを開け少しだけ窓を開けた。

「ちょっと待っててくださいね」

真澄さんに断りを入れると、台所へ向かう。美智子おばちゃんが言っていたとおり、掃除をしてくれていた室内はどこも綺麗で、すぐにでも暮らせそうだ。



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