【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

地元だと言うのに、車がどこを走っているのか全然覚えていない。そして気がつくと、車は一軒の旅館の前に止まった。

わたしの故郷には駅から車で十五分ほど走ると古い町並みが人気の観光地があり、その近くにはいくつか旅館が点在している。

これは多分、その中のひとつ……だったと思うけれど。なんで旅館?

無言のまま真澄さんを見つめるが、真澄さんも無言のまま車から降りてしまう。

わたしの視線はスルーですか?

気に入らないと頬を膨らませるが、置いていかれるのも困ると、スタスタと歩いていってしまう彼の後を追う。

「予約してある愛川ですけど」

フロントでスタッフと話をする真澄さんの言葉を聞いて、一瞬にして体に緊張が走る。

予約してあるって、何を予約してるの? 食事? それとも……泊まる?

いやいやいや。そんな話、聞いてない。というか、車の中で何も話してないのだから、聞くも聞かないもないんだけど。

こっちに帰るまでは一緒に暮らしていた。だから何も今さら、あたふたすることない。それにまだ泊まると決まったわけじゃない。

とにかく落ち着け、落ち着くんだ、蘭子!

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