【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
車がゆうに五台以上停められそうな駐車場に、真っ赤なスポーツカーを見つける。
わあ、高そうな車……。
心の中でひとり盛り上がっていたが、車を停めた真澄さんの様子がおかしいことに気づく。
「真澄さん?」
名前を呼んでも、真澄さんは赤いスポーツカーを見つめたまま微動だにしない。
「……今日子」
「え? 何?」
「あ、いや。なんでもない」
そう言って真澄さんは笑顔を見せると、車から降りてしまった。
なんでもないなんて、嘘。そんな引きつったような笑顔を見せられたら、気になってしょうがないじゃない。それに……今日子って誰?
真澄さんの口から初めて出た女性の名前に、一抹の不安がよぎって体が震える。
「蘭子、降りないのか?」
「え? あ、降ります降ります」
慌てて車から降りて、身なりを整えた。
「ほら」
差し出された真澄さんの大きな右手に、自分の左手を重ねる。真澄さんを見上げるが、さっきの引きつったような顔はもうどこにもない。
「真澄さん」
「ん? どうした?」
「ご、ごめんなさい。ちょっと名前、呼びたくなって……」
「なんだよ、それ」
そう言って笑う真澄さんの笑顔は、わたしにだけ向けられている。
今は余計なことを考えるのはやめよう。
小さく息を吐くと、自分の中にある不安を消すように彼の手をギュッと握りしめた。