【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
白亜の豪邸の玄関はやっぱり普通ではなく、玄関に入ると深いため息が漏れてしまう。
「これのどこが至って普通なんですか、真澄さん」
わたしが住んでいたアパートの部屋がまるっと入ってしまいそうな玄関ホールに、高そうな調度品がいくつも置かれ、これまた高そうな大きな絵画が壁一面に飾られている。
これって、宮殿じゃないの?
目の前には映画で見たような豪華な階段があって、今にもその先から綺麗なドレスを纏ったお姫様が出てきそうな錯覚に襲われる。
「真澄さん、おかえりなさい!」
と突然大きな声を上げ、玄関ホールの一番奥にあるドアからひとりの女性が飛び出してきた。
「母さん。そんなに大きな声で言わなくても、ちゃんと聞こえますよ」
「そう? でも今日は真澄さんが彼女を連れてくる日だから、私、嬉しくって」
女性は満面の笑みをたたえ、真澄さんと私の前まで来ると足を止めた。
真澄さんが“母さん”と呼ぶってことは、この人が院長の奥様で、真澄さんの義理の母。
綺麗な顔を向けられ視線が合わさると緊張が体中を駆け巡り、背筋をピンと伸ばす。
「彼女がこの前話した、高梨蘭子さん」
「はじめまして。真澄さんとお付き合いをさせていただいております、高梨蘭子です」
まるで大根役者のような棒読みで自己紹介をすると、深々と頭を下げる。
今の挨拶で大丈夫? 変なところなかったよね?
自分で自分に問いかけるが、なんにしろ初めてのことで、いいのか悪いのかよくわからない。不安になってきて頭を上げると、そのまま真澄さんを見上げた。穏やかに微笑む真澄さんがこっちを見ていて、その笑顔にホッと安心する。