【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「失礼します」
真澄さんと一緒に応接室に入ると、彼が目線を一瞬、院長ではない方に動かしたのに気づく。でもすぐにそれを戻してしまい、何事もなかったように話し出す。
「父さん、彼女が……」
「やあ、いらっしゃい。そうか、君が高梨さんだったか。真澄からも時田さんからも、君の話は聞いているよ」
院長は声高らかにソファーから立ち上がると、わたしに右手を差し出した。
「園枝さんからも……」
そう呟き、院長の右手を握る。園枝のさんの名前に一瞬心が和んだが、すぐにわたしの意識は院長とは反対側、真澄さんが部屋に入った時に動かした目線の方向にあるソファーに集中する。
そこには若い女性が座っていて、わたしのことをじっと見ていた。顔は微笑んで見えるが、その目はまるでわたしを品定めするように、特別な感情を湛えている。
彼女の挑むような目つきに一瞬負けそうになったが、そんな弱い心をなんとか保ち院長へと頭を下げた。
「院長、お久しぶりです。今日はお招きいただき、ありがとうございます」
「そんな堅苦しい挨拶はいい。私も家内も、君が来るのを楽しみにしていたんだ。今日はゆっくりしていくといい。今日子さんもお祝いに来てくれたし、皆でうまいものでも食べよう」
「はい、ありがとうございます」
そう言葉を返す。院長には申し訳ないけれど、わたしの心ここにあらず。真澄さんのことを見つめている女性に、気持ちは穏やかじゃない。