【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
この人が今日子さん……。
ソファーに座るその姿は堂々としていて、美貌の持ち主。長い黒髪が似合う彼女がスッと立ち上がると、その髪が艶やかに揺れた。
「蘭子、紹介する。こちらは、俺が世話になった大学病院で外科医をしている……」
「冴羽今日子です。よろしくね、蘭子さん」
今日子さんは真澄さんの言葉を途中で切ると、一歩足を踏み出す。
「は、はじめまして。高梨、蘭子です」
大学病院で外科医。
女の直感──は、どうやら当たったみたい。
この人が、あの騒動の相手。真澄さんが婚約の断りを入れても『まだその人と結婚してないんだから、私にもチャンスがあるっていうことですよね?』と言った張本人だ。
だからさっき、あんな目を私に向けたのね。
お祝いなんて嘘。それは体のいい口実で、きっとわたしに挑戦状を叩きつけにきた違いない。今でも目が、そう語っている。
「じゃあしばらくは、若いもん三人で話すといい。ちょっと用事を思い出した、わたしはちょっと席を外すよ」
お見合いでもないのに、若いもんって……。
今日子さんの雰囲気に何かを感じてのか、はたまた本当に用事を思い出したのか、院長はそう言うと応接室から出ていった。
「バタン──」
豪華な模様が施された格調高いドアが閉まると、応接室の空気が一瞬で変わった。今日子さんの目が鋭さを増し、その怒りの矛先はわたしに向けられた。