【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

「蘭子……」

わたしから見せるはじめての強い気持ちに、真澄さんの目に正気が戻る。もう一度大丈夫と笑顔で頷くと、安心したのか真澄さんは穏やかな表情見せた。

「今日子、蘭子を傷つけるようなことだけは言わないでくれ」
「それはどうかしら。傷つくもつかないも、彼女次第だと思うけれど」
「とにかくだ。父さんも母さんもいる、手短に頼む」

真澄さんはそう言うと、わたしの手を名残惜しそうに離し部屋を出ていってしまった。

応接室に残されたのは、今日子さんとわたしのふたりだけ。

どんな事があっても真澄さんから、もう二度と離れたりなんかしない──。

そういったのは本心で嘘ではない。けれどこうやってふたりっきりにされてしまうと、今日子さんの気迫に押されてしまい心細い。

「蘭子さん、もう一度言います。真澄さんのこと、諦めてもらえないかしら。これが、どういう意味かわかる?」

表情は穏やかに、でもその言葉ひとつひとつには毒を含んでいる。NOなんて許さないと言わんばかりの声色に、恐怖心が体を駆け巡る。

真澄さんが隣りにいてくれた時の強い心は、まだ今日子さんと対峙したばかりだというのにポキッと折れそうだ。

「あなた、もしかして恋したのは初めて?」

ズバリ核心を突かれて、言葉を返すことができない。ただ小さく頷くと、「やっぱり」とクスクス笑われてしまった。


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