【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「恋に恋する乙女って感じで可愛いから、真澄さんもコロッとほだされてしまったのね」
「ほだされて……」
彼女の言っている意味がわからない。恋というものは、ほだされてするものだろうか。
首をゆっくり横に振り違うと伝えようとするが、今日子さんは勝ち気に話を続けた。
「そうじゃなかったら、真澄さんがあなたみたいな人に心を奪われるはずないもの。あなたに何ができるの? 外科医に戻る真澄さんの右腕となって、手術室に立てる?」
「それは……」
「愛華総合病院の院長の座だけでなく、大学病院での地位や名誉を用意できる?」
今日子さんはわたしに答える間を与える気がないのか、次から次へと畳み掛けるように言葉を続ける。考えたこともなかった真澄さんの立場というものに、間の前が真っ白になった。
わたしは、真澄さんのそばにいる資格がない……そう言われているみたいで、返す言葉がない。
「人の心なんて、なんとでもなるものなの。今はあなたのことを愛していても、あなたという存在が真澄さんの目の前から消えればすぐに忘れてしまう。恋愛感情なんて、そんなものよ」
何も返事ができないでいるわたしを見て、今日子さんが冷笑を浮かべている。でも今の話の中の言葉に一筋の光が見えた──ような気がした。
真澄さんに婚約騒ぎが起きた時、わたしは彼の前から消えた。そばに居なければ真澄さんのことは忘れられる、そう思っていたのに……。